昔話『北極点』

昔話『北極点』

エントリー投稿日:2016/01/18
むかーしむかし,と言っても1週間前のお話です。
お話は「二角形ってあるの?」という,中学1年生の生徒のなんでもない疑問から始まります。

もちろんその時の私の解答は「ないよ」です。
中学・高校と数学を学習していく上で二角形という概念は出てきませんし,角の数が最小である多角形は?と聞かれて二角形なんて書いたらもちろんバツが付きます。(余談ですがこの問題,うっかり円の存在を思い出してしまうと非常に難しいと思います)
それで納得してくれればこの話はおしまいなのですが,その生徒は次の授業後,「学校の先生はあるって言ってたよ,ネットでもあるって書いてある」と親切にもその図を見せてくれました。

これは困りました。「私たちが中学・高校で習うユークリッド幾何学においては存在しないので,ないということにしておいて何も問題はないよ」が模範解答でしょうか。
ただ,そんなことを言っても中学生には「この話は終わりだ!帰れ帰れ!」に聞こえてしまう気がします。

実際に,球面幾何学(地球儀の面など)のような非ユークリッド幾何学では二角形は定義できますし,三角形の内角は180度にならないし,平行線が交わります。我々の考える図形の”普通”はユークリッド幾何学に基づいていますが,非ユークリッド幾何学では”普通”でないことが起こります。学校の先生もネットの意見も,非ユークリッド幾何を指して「ある」と言っているのだと思います。

どう説明したものか,頭の中で地球儀をぐるぐる回していると,あるなぞなぞを思い出しました。

『ある場所から南に10km進んだ後,東に10km,北に10km進んだら元の場所に帰ってきました。そんなことって起こる?起こるならある場所ってどこ?』

これこそユークリッド幾何学と非ユークリッド幾何学を結びつける,最も簡単な理解しやすい例ではないか!早速説明してあげよう!

と振り返ると,生徒は既に帰っていましたとさ。

曽根校 小林

お電話でのお問い合わせ、フォームからのお問い合わせ・資料請求はこちらから!

アーカイブス